この記事では、「請求書を送る時のマナーってあるの?」「請求書を送る時って何に気をつけるべきなの?」と言った疑問を解決します。
前半では、「請求書を送る時になぜマナーが必要なのか」を、後半では「請求書を送る時に気をつけること」を解説します。
この記事を読み終えると、「請求書を送付するときのマナー」を理解でき、日頃の業務で実践できます。
目次
なぜ請求書を送付するときにマナーに気を付ける必要があるのか
「請求書を送るだけだからマナーは存在しない」、とお考えの方もいらっしゃるようですが、そもそも「マナー」とはなんでしょうか。「ルール」と混同している方も多いと思いますので、比較したいと思います。
【ルール】:明文化された規則のこと。これを守らない場合には罰則が発生する。
(例:交通のルール、野球のルールなど)
【マナー】:相手を大切に思う気持ちを形で表したもので礼儀や作法のこと。
守らなくても罰則はない。自ら注意を払って守っていくもの。
(例:ビジネスマナー、テーブルマナーなど)
請求書を送る際のマナーとは、ビジネスにおける請求先への思いやりとお考えください。請求書を受け取った相手を不愉快にさせず、良好な関係を築く入り口にもなります。
請求書を送る際にマナーが必要な理由をさらに深掘り
前述したとおり、「請求書を送るだけだからマナーは存在しない」という考えについて、「果たして本当にそうなのか」、さらに考えていきたいと思います。
これは会社で働く上で、重要なビジネスマナーになりますのでので、しっかり理解を深めていきましょう。
まず、ビジネスマナーが必要な2つの理由についてご紹介していきます。
理由1.取引先と信頼関係を築いていくため
ビジネスの世界は、年齢・性別・経験などの異なる人たちで構成されています。そんな、さまざまな人たちの間の、コミュニケーションの共通の入り口が、ビジネスマナーです。
挨拶、言葉使い、名刺交換等、ビジネスマナーの基本を身につけていない人は信頼することができないと考える方が、実は数多くいます。
理由2.会社のイメージを左右するため
例えば、あなたがある会社から突然封筒が届き、その中が請求書のみで、送付状も、内容を説明する書面も入っていなかったら、あなたは、「この会社、感じが悪いな」と思いませんか?担当者だけではなく、会社そのものにも不快感を抱くのではないでしょうか。
一方、請求書の送付前に担当者からあなたに一報があったり、請求書に送付状や内容を説明する書面が同封されていた場合、あなたは「この会社、しっかりしているな」と、担当者だけではなく、会社そのものに好感を抱くのではないでしょうか。
これは請求書に関する業務だけではなく、メール対応や来客対応、電話対応などにも当てはまります。たった一人の従業員の行動が、会社そのものの印象を左右することがあります。
請求書を送る時に気をつけること
それでは次は、実際に請求書を送る際のマナーを解説していきます。送付の方法、送付状の記載内容など、分かり易く解説していきます。
請求書の送付方法
まずは請求書を送付する方法、手段について解説していきます。
1.郵送
郵送は、最もオーソドックスな送付方法になります。請求書は信書にあたるので、基本的には宅配便で送付することはできない書類です。
信書とは、送った側が受け取る側に対して、「このような事実があった」ということを知らせるための書類のことを指します。定形郵便などで送付をして、請求をしたという事実をはっきりさせるようにしましょう。
こうすることで、万が一、先方に請求書が届いていないということになった場合でも、重大なトラブルに発展する事を回避することができます。
2.FAX
請求書をFAXで送付する方法を取り入れている企業はあまりありません。これは請求先が、社印を押印した原本を必要とするためです。したがってFAXによる送付は、特別な場合に限られます。
例えば、請求書の発行が遅れて郵送では先方の締め日までに請求書の到着が間に合わないとき、FAXで請求書を送付して事前に先方に支払い処理を依頼し、原本は追って郵送する、等の利用となります。
3.メール送信
エクセルやワードなどで作成した請求書をPDFで保存し、メールに添付して請求先へ送付する方法で、近年では取り入れている企業も増えています。
セキュリティの観点から、請求書のファイルをパスワードでロックしておき、解除するためのパスワードを、別のメールで送信するする方法が、多く用いられています。
請求書の送付状とは
請求書を送付するときには、送付状も添付しましょう。
送付状は、本来であれば直接手渡しすべき請求書を、郵便やFAXで送付する事に関する挨拶と、請求書のフォーマットでは掲載できない情報を補足して伝える、2つの役割を持っています。
社会人として必要なマナーになりますので、ここでしっかり覚えておきましょう。以下に例文を掲載しますので、参考にしてください。
1.郵便で請求書を送付する場合
送付状の上段から、次の順番で記載してください。
(右寄せ)送付する年月日
(左寄せ)△△株式会社 御中 ※送付先の社名となります。
(右寄せ)送付元の社名、担当者の部署名、担当者名、住所、連絡先 ※適宜改行します。
(中央)請求書 送付のご案内
(本文)拝啓 貴社におかれましては、益々ご清栄のことと心よりお慶び申し上げます。
平素は格別のご愛顧を賜り、厚く御礼申し上げます。
下記の通り、請求書を同封いたしましたので、ご査収の上ご手配を賜りますよう、よろしくお願いいたします。
(右寄せ)敬 具
(中央)記
(左寄せ)20○○年○○月 ○○サービス 請求書1通
(左寄せ)※契約書のフォーマットでは掲載できなかった補足情報を記入します。
(右寄せ) 以 上
2.FAXで請求書を送付する場合
FAXで請求書を送る場合には、送付状のフォーマットとしてFAX送信票を利用します。備考欄に、郵便の送付状と同じ例文を記載して送信します。なお例文の本文の「同封」は、「送信」に替えてください。
FAX送信票が無い場合は、郵送で用いる送付状と同じ体裁の書面を作成して、送信します。
3.メールで請求書を送信する場合
請求書をメールで送信する場合は、前述の郵便やFAXの場合とはマナーが異なりますのでご注意ください。
まず【件名】には、「〇月分請求書送付のご案内」と、メールの内容を端的に記載します。
次に、本文の例を以下に掲載します。
株式会社△△ ○○部○○課 □□様
いつもお世話になっております。株式会社××の○○です。「○○プロジェクト検収完了」の件につきまして、請求書を添付させていただきます。 ご査収の上、請求書に記載の口座まで〇月〇日までにお振込みいただきますようお願い申し上げます。なお、不明点がございましたら、弊社担当○○までお問い合わせください。今後ともよろしくお願いいたします。 株式会社×× |
以上になります。
メールで送付する場合には、郵送やFAXの送付状の文言よりも少しくだけた表現になってもマナー上問題ありません。
請求書の送付する際に気をつけたいこと
それでは最後に、請求書を送付する際の注意点について解説していきます。
1.送り間違いがないように注意!
請求書を送付する中で、注意しなければならないのが請求書の送り間違いです。例えば、封筒の送り先はA社なのに、中身の請求書はB社だった、等の間違いは、機密情報の流出となり、企業としての信用問題に発展する可能性があります。
こうした間違いを防ぐために、封筒に請求書を入れたあと、封をする前にもう一度封筒と中身の請求書が合致しているか、確認しましょう。
2.封筒の選び方
請求書を郵送する際、封筒は長形3号で送付するのが一般的です。このサイズはA4用紙で印刷した請求書を三つ折りしてちょうど収まるサイズになります。封筒の色は茶と白どちらを選んでも問題ありません。
3.書類のたたみ方と封筒への入れ方
書類の上部の1/3(=件名が記載されている部分)が上に被さるよう三つ折りにして、その上部の1/3の端が右上にくるように封筒に入れましょう。
4.封筒の「宛名」や「請求書在中」の書き方
宛名を記載する際、縦書きと横書きどちらでも問題はありません。
封筒の表に「請求書在中」と記載し、請求先でダイレクトメールなどに紛れ込まないよう、請求書である事を分かるようにします。記載する場所にきまりはありませんが、一般的には封筒の左端に赤文字で記載されるケースが一般的です。
まとめ
請求書を送付する際にはさまざまなマナーがあることを解説してきました。一見単純そうな作業も、かなり面倒に感じる方もいると思います。
あらかじめテンプレートを用意することで多少は効率化できますがが、それでも手作業は残ります。今では請求業務を自動化できる、さまざまなクラウド型の請求管理サービスが発売されていますので、自社の請求業務にマッチするサービスを探してみるのもいかがでしょうか?